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真の影響力を発揮するために(7)
社員の意識を一つのブランドに集結し、
全員が同じ方向を向いて力を合わせるために、まず行われたのが、
ブランドアイデンティティ(BI)の確立。
会社側が日産自動車の目指す姿、すなわちブランドを提示し、
一人ひとりがそのためには自分の部署は何を、
あるいは自分自身は何をしなければならないかを考えます。
全員が"日産リバイバルプラン(以下NRP)"を共有するためには、
経営陣や上司、各部署が考えていることを社内全体に過不足無く伝えるため、
社内連絡の透明度を上げなければなりません。
例えば、会社から社員へ発せられるメッセージは、
以前は月に1回発行される社内報によるものがほとんどでしたが、
ゴーン氏就任以降は、日産自動車がその日発表した事項はすべて
イントラネットのトップページを通じて社員に知らされるようになりました。
NRPも、公式発表と同時に社員には生中継で知らされており、
かつてのように会社の情報を新聞で知ることはなくなりました。
これにより、社員全員が同じ絵を頭に思い描けるようになったため、
各部署では自分たちが何をしなければならないのかを、
はっきりと感じ取れるようになったのです。
消費者を満足させる商品を作るためには、何をすれば良いのか。
エンジンは、デザインは、走行性は?
経理や人事などの間接部門は何をすれば良いのかなど、
NRPという明確なビジョンにより、一人ひとりが会社全体の
利益のために自分の役回りを考えられるようになりました。
社員のなかにはNRPに掲げられたコミットメントが高い目標であったため、
日常の業務に疲労感を覚える者もあったといいますが、
くじけそうになる社員を支え勇気づけたのが、BIだったのです。
3万人全員の思考を変え、ブランド意識を浸透させることは
並大抵の努力ではありません。単なるイメージ戦略ではなく、
また安易な経費削減策だけにとどまらない。
日産の真の経営理念、真の開発思想を社全体でいかに共有するか
という情報の透明性をテーマにしたからこそ、
NRPは予想を超えて上手く回転したのでしょう。
コミットメントという有言実行のプロセスを、企業全体のレベルから、
部署のレベル、そして社員レベルまで明確にして、
各個人がそれを実直に推進したからこそ、
日産は見事な業績回復を果たしたのです。
そこには魔法の杖や安易なリストラ頼みがあったわけではありません。
ブランド意識に基づいた、一人ひとりの実直な取り組みがあっただけなのです。




