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事例 患者さんの「ストーリー」を世の中へ
ワイスのPRチームは、まず、『関節リウマチは社会の理解も浅く、慢性疾患であることから患者は社会的な苦しみや問題を抱えている』
という仮説を大前提とし、一般の人々と患者の接点となる情報を
創り出すためのプログラムを展開することにしました。
しかし、製薬会社から一方的に情報を発信しても説得力に乏しいと考えた
PRチームは、プログラムを共に行うパートナー選びに着手。
東京大学の健康社会学研究室という絶好のパートナーの協力を取りつけ、
2003年5月、産学協同のコミュニケーションプログラム「リウマチ患者と
社会の関わり」調査プロジェクトをスタートさせました。
目的は社会全体のリウマチに対する正しい理解を促すこと。
企画スタートから1~2カ月目は、複数の患者へのグループインタビューを
通して、彼らの日常の悩みや想いを洗い出し、アンケートの調査票を作成、
開始3カ月目の2003年8月に500名のリウマチ患者を対象に
インターネットでアンケートを実施しました。
調査結果は、即座に東大健康社会学研究室で集計・分析され、
また同時に、調査結果から浮かび上がった実態をどう解釈して、
人々の心に響くストーリーとして打ち出せるかの検討も進められました。
そして12月には、都内に主要な新聞などのメディアを集め、
結果の発表を実施。
リウマチに苦しむ患者の悩みを一般の人々に共有してもらうことは、
今回の大きな目的の一つでもあります。調査結果を分析した結果からは、
リウマチ患者が「性別による社会的通念により苦しめられている」ことが
浮き彫りになりました。
たとえば女性。
「料理を作ること」や「赤ちゃんを抱くこと」といった行為を
困難に感じる割合が男性に比べ圧倒的に高いという結果が表れています。
どちらの質問も7割以上の女性が「困難あり」と回答しているのに対し、
男性はおよそ4割。「女性の方が家庭内の役割遂行を期待されるために、
困難に感じ、悩む割合も高い」との分析の背景には、
「もし、自分が料理を作れなくなったら、どうしよう・・・」という、
日頃から家事分担のたいへんさに悩んでいる女性たちに理解されやすい
ストーリーがある事が判明しました。
つまり、リウマチ患者に対する女性たちの共感を呼び起こす事が
可能なのです。
男性についても同様です。
彼らの回答からは、周囲に苦しみを話すことができず、
一人でそれを抱え込む様子が浮かび上がってきました。
「ちょっと痛いぐらいで、グチャグチャ言うな」
上司のこんなパワーハラスメントのごとき台詞が思い浮かぶ
この調査結果は、「男子たるもの強くあるべし」という男性の
社会的役割に生きづらさを覚える人々の共感を得ることが出来ます。
誰もが心の片隅に持つ男性としての孤独感や寂しさに訴えるストーリー。
ここには病気を抱える者と健康な者との差はもはやないのです。
関節リウマチという病気の切実な側面が、ストーリー性が付加される
ことにより鮮やかに見えてきます。
続きは次回の広報戦略の発想法で!




