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事例 伝えたいことをストーリーに託す!

ホームエイドアメリカは、そのどれもがさほど効果的ではないことを
知っていました。

ホームレス問題の理解不足とは何か?人々が知らないのは、社会問題
そのものではなくて、ホームレスそのものについて。
なぜ、彼らは家をなくしたのか?どんな気持ちで毎日を過ごしているのか。
いったい何を望んでいるのか?

 

――結局、人々はここがいまひとつピンと来ないのです。

 

この理解を得るもっとも有効な手段は、こうした疑問に答える情報を、
ホームレスの人々ひとりひとりが持つ「物語」として訴えることです。
ここで同NPOはさらに考えました。

 

実際のホームレスの人々の声をそのまま伝えることも大事ですが、
もっと効果的で話題性のある方法はないだろうか。そこで企画されたのが、
「プロジェクトセーフティネット」と呼ばれるプロジェクトです。
カリフォルニアのアーバイン高校の協力を得て、同高校の生徒数名が
1週間ホームレスの疑似体験をすることとなりました。

 

彼らはホームレスになってしまった架空の「事情」を与えられ、一週間
服も着替えられず、物乞いもしなければならない。これは「やらせ」で
はありません。最もホームレスへの関心が薄い高校生への実地教育
プログラムという側面を持ちながら、彼らは一週間だけ本当に「一時的な」
ホームレスになるのです。このユニークな実験に真っ先に地元大手新聞
「ロサンゼルスタイムス」が飛び付き、開始前の取材をもとに、
実施期間中に特集記事となりました。

 

これにその他の新聞、TV、ラジオが続き、疑似体験をする生徒たちの
様子と生の声、ホームレスとしての「物語」は全米の知るところとなった
のです。
15歳から17歳の彼らは、物乞いを無視する道行く人々に心から落胆し、
凍えながら眠りをむさぼる車の中で怯え、簡易シェルターで「本物の」
ホームレスと心を通わせる。そしてプログラムの最終日には、口を揃えて、
興奮気味にこう取材に答えました。

 

「今まで僕たちは、ホームレスは真剣に勉強や仕事に打ち込まなかった
やつらばっかりだと信じこんでいた。自業自得だと思っていた。
でもそうじゃなかった。なりたくてなったわけじゃない人も大勢いるんだ。
誤解してたってことがよく分かった」

 

このプログラムは大きな反響を呼び、ホームレス事情の理解と
ホームエイドアメリカの存在を知らしめた。ちなみにこのプログラムの
実施にかかった費用はたったの30万円だった。この広報戦略の費用対効果の高さは
計り知れません。

 

ここでのポイントは、簡易シェルターという提供物そのものにストーリーは
付加しにくいが、そのサービスの受け手には物語が存在したので、
この物語に人々が共感することで、結果として簡易シェルター事業の理解が
促進されたということです。

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