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事例 「北京オリンピックの第三者の意見(3)

もう一方の環境問題においても、彼らは「第三者の意見」を見事に活用しました。
それはアメリカでたった一人によって運営されている環境NGOの発言です。

「オリンピックを開催することが、中国の緑化を強く推し進める。
よってオリンピックの北京開催を支持する。」

 

NGOからIOCのサマランチ会長(当時)宛てに届けられたこの手紙を、
招致委員会は公式サイトに掲載し、世界中へ「北京オリンピックは緑化を促進する」
というメッセージを発信。キーメッセージは「グリーンオリンピック」

 

同時に、PR会社ではこの一人だけのNGO団体にアプローチをはかり、彼に各方面の
新聞に論文を掲載するよう広報戦略を働きかけました。結果、多数のメディアに
「グリーンオリンピック」という言葉が踊り、NGO団体の中立性を活用した
「北京五輪=環境緑化」というイメージ作戦が見事に実を結ぶこととなりました。

 

その間、PR会社は彼に場を与えるだけで、他には何をするわけでもありません。
広い世界でたった一人の意見に目をつけ、それを何倍にも膨らませて世界へ発信する。
アメリカの片田舎で生まれた小さな意見が、PR会社の手にかかって数百数千倍に膨らみ、
さらにそれ以上の価値を生み、世界を駆け抜けて・・・。
彼らは巧みな技術をもって、北京が抱えるもっともネガティブな要素を振り払って
みせたのです。

 

招致活動開始当初、独自調査による米国内の報道は肯定的報道と否定的報道が
五分五分でした。世界的影響力の強い米国メディアだからこそ、国内の否定的報道を
いかに抑えていくかも彼らにとって重要なPR活動のポイントとなるのは、必然だと
言えるでしょう。「北京オリンピック開催は、現在の中国の政策を認めることになる。」
そう、超党派の有力議連が反対声明を発表した際のことだった。ロイター通信の
記者が「有力議員、北京オリンピックと戦う」と題した記事を配信すると、その記者の
下にPR会社から連絡が入った。配信から、わずか1時間後のことです。

 

「記事のバランスを取るために、ある人に取材をしてはどうか?」とPR会社からの申し出。
記者が紹介された大物民主党議員の下へ取材に出かけると、そこではすでに報道官が
原稿用のコメントを用意して待っていたそうです。

 

その結果、記事は「中国への関与が民主化や改革を促進する」との記述が加わり、
否定的ニュアンスを失った記事が再配信されることとなった。米国内の反中国議員による
ネガティブキャンペーンも、彼らは見事に抑えてみせたのだ。

 

結果として、アメリカが北京オリンピックに反対することはなく、北京は無事、
2000年の雪辱を果たしPR会社とともに2008年の開催権を手に入れました。
これにより中国では、交通インフラの整備が進み、雇用拡大や消費の増大傾向が
強まっていくでしょう。また外国からの視線が集中するため、環境問題や貿易問題では
改善を重ねていかなければならないでしょう。今では2008年のオリンピックが、
中国が近代国家へと脱皮するための最高の機会となるだろうと考えられています。

 

たった一人の第三者の発言で環境問題に関するネガティブイメージを払拭し、
世界的アスリートを第三者として活用し、人権問題も話題にさせなかった。
こうして中立的な第三者を巻き込み、オリンピック誘致のコミュニケーション戦略を
展開したことが、この勝利を通して中国の歴史的発展に影響を与えていることは間違い
ないでしょう。

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