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事例 「e-Business」という大舞台の誕生

IBMのインターネット部門はコミュニケーション戦略を練るべく、
広告代理店やPR会社、ブランドコンサルティング会社などを交えた、
総勢35名ほどのコンサルタントチームを結成しました。そして、
IBMのインターネットビジネスをどのように打ち出すべきか、定期的に
ミーティングを行いました。

コミュニケーション戦略を練るにあたって、PR会社はまず現状のIBMの
イメージに関するリサーチを実施。ビジネス系メディアの業界担当記者
たちにヒアリングをしたところ、まず多くの人たちの関心事はブラウザ
戦争を始めとする西海岸系企業の革新的な技術力にありました。

 

また同時にわかったことは、多くの記者がIBMの商品構成について困惑し
ていたということです。

 

サンジョゼにある「マーキュリープレス」の記者は次のような意見でし
た。「IBMからたくさんの商品発表のプレスリリースが届いているが、
それぞれがどのように関係があるのかわからない。また、戦略もよく見
えない」。

 

つまり、記者たちからのヒアリングで浮かび上がった課題は、いかに
IBMがインターネットと関連のある企業であるかを見せていくか、また、
いかに提供している商品構成の意味づけを理解してもらうか、ということが
重要なポイントでした。

 

また、PR会社はビジネスのリーダーたちからは、IBMはいい会社だという
一定の評価を得ているという手がかりもつかんでいました。その理由とし
て、ガースナー社長はインターネットを物流や生産管理などのビジネス戦
略でいかに有効に活用できるかについて具体的な方向性を明確に打ち出して
いたからです。

 

その一方、西海岸系の企業は優れたテクノロジーを作り出せるということ
については発信していたが、実際に企業の利益にどう結びつくのかという
法人向けのアプリケーションやビジネス上の価値については触れていません
でした。

 

こうした状況を踏まえて、IBMはどのようなコミュニケーション戦略、広報戦略を
行っていくべきか。PR会社はいくつかのアプローチを検討しました。

 

たとえば、西海岸系企業のポジショニングに取って代われるよう、IBMも
若い、カジュアルウェアで長髪のウェブプログラマーが集まった会社という
イメージを作り出すべきなのか。あるいは、アップルが行ったように、
IBMも消費者向けの啓発キャンペーンを行うべきか・・・などです。

 

さまざまな議論が起こったが、結論的には、上記案はいずれも却下されま
した。
そして、とうとうコミュニケーション戦略の答えはIBMのビジネスの原点に
立ち返ることで見出されたのです。

 

つまり、IBMの強みは、有力な法人顧客を多数抱え、これまでビジネスの現
場で確かなソリューションをもたらす商品を提供してきたということです。
また、インターネットについても、マイクロソフトやネットスケープ社など
より、多くのソフトウェアやハードウェアの商品・サービスを展開しており
法人顧客の事業に貢献することが可能であるということ。

 

そうしたことを勘案したうえで、IBMは法人顧客にインターネットに関する
メッセージを的確に届けることこそが、インターネットビジネスの分野で大
きな成功をもたらすと考えたのでした。

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